予備軍を合わせると5人に1人が糖尿病
1990年以降、急速に増えている糖尿病。厚生労働省の調べによれば、糖尿病とその予備軍を合わせると2,050万人で、国民の5人に1人に当たります。糖尿病には、自己免疫機能が関わる「1型糖尿病」という種類もありますが、日本人の場合、患者の大半が「2型糖尿病」。遺伝、加齢に加え、過食(とくに高脂肪食)、運動不足、肥満、ストレスといった環境因子が深く関わることによって発症します。
糖尿病人口の推移 ※2012年国民健康・栄養調査より(厚生労働省)
※HbA1cとは、ヘモグロビンに血液中の糖が結合したもので、過去1〜2カ月の平均血糖値を表わし、血糖コントロール状態を反映する指標とされます。
患者全体の6割以上を高齢者が占める
糖尿病患者を年代別に見ると、6〜7割を高齢者(満65歳以上)が占めています。
その主な理由は以下の4つです。
体内の血糖を下げる、
すい臓からのホルモン
「インスリン」の分泌が低下する
ブドウ糖を代謝する
筋肉量が減る
調理・買物が不自由となり、
食生活がおろそかになる
病気や老いの不安など
ストレスが増える
糖尿病入院患者数(推計)
※厚生労働省(2011)患者調査
糖尿病が悪化すると、腎症などの合併症を引き起こし、最終的には人工透析を受けることもあるので、過食、運動不足、肥満には十分気をつけましょう。
認知症や骨折などにはさまざまな危険が…
糖尿病の患者さんは、そうでない人に比べ、アルツハイマー型認知症の発症率が約1.5倍になるといわれます。ある研究によれば、低血糖を起こした回数が多いほど、認知症のリスクが高まることも明らかに。認知症予防という面からも血糖コントロールはとても重要です。また、糖尿病の患者さんはケガが治りにくいため、転んで脚を骨折すると、長期入院を招いたり、足腰がいっそう弱って寝たきりになったりするケースも。適度な運動や骨粗しょう症の治療など、転倒や骨折を回避する予防を日頃から心がけたいものです。
糖尿病によるリスク
近藤 貴昭
一般内科、糖尿病、内分泌担当。年に数回、院内で「糖尿病教室」を開くなど、患者さんとのコミュニケーションを大切にしている。