地域包括ケア

家族のケアを第一に考える「地域包括ケア」システムへの
取り組みは、すべての人にとって大切なことです。

「地域包括ケア」の誕生で、
私たちの老後はどう変わる?

2014年4月からはじまった「地域包括ケア」。
山口病院でも取り組みが始まっていますが、まだまだ一般的には知られていないこのシステムについて、竹本事務局長にわかりやすく解説していただきました。

地域包括ケア

地域全体でお年寄りを見守るという考え方

「地域包括ケア」システムとは、どのような制度ですか?

団塊の世代のすべてが75歳以上を迎え、高齢者人口が過去最多になると予測される2025年に向けてスタートした新しい制度です。
日本では約8割の方が病院で亡くなっていますが、このまま25年を迎えると、病院は高齢者の入院患者であふれてしまいます。一方、高齢社会白書によれば高齢者の半数以上が「住み慣れた地域や自宅で人生の最期を迎えたい」と考えており、在宅医療のさらなる充実が求められています。そこで、患者さんの生活支援や介護サービスを提供できるよう、地域でバックアップしようという考えが「地域包括ケア」システムです。当院の場合、患者さんの住まいから30分以内(1.5km以内)という範囲内で、「住まい、医療、介護、予防、生活支援を提供する」というシステムづくりを進めています。

グラフ:2025年の社会保障給付額は1.5倍に

具体的にどのような取り組みをしているのですか?

「在宅療養支援病院」として地域の中心となり、介護施設、サービス付高齢者向住宅(サ高住)、特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、訪問看護ステーション、ケアマネージャーなどときめ細やかに連携をとり、在宅看護をサポートする体制づくりを行っています。
在宅療養支援病院であるためには、24時間365日患者さんを受け入れる「二次救急指定病院」であるなど、さまざまな条件が必要となりますが、当院は55年間、地域に寄り添う「二次救急指定病院」の実績を積んでいることから、こういった体制づくりもスムーズに整えることができました。今後はさらに訪問看護の分野にも力を入れていきたいと考えています。

地域包括ケア連携

国公立病院および大学病院と密接に連携。診療所、クリニックとの連携においては、
身近な医療から高度な医療まで幅広くご提供できる体制を構築しています。

地域包括ケア連携

「地域包括ケア」の体制が整うことで患者さんや地域にとって、どのような良い点がありますか?

やはり患者さんの「人生の最期は、自分の住み慣れた地域や自宅で過ごしたい」という気持ちを実現できるようになることが一番だと思います。地域全体がさまざまな形で在宅の人(在宅医療・在宅看護など)をサポートしますので、今まで「自宅での介護や看取りは無理」とあきらめていたご家族にも希望が出てくるのではないでしょうか。

入院体制については、どのように変わりますか?

これまで当院では、救急治療を受けた患者さんが入院する「急性期病床」と、その後に治療を受ける「亜急性期病床」を用意していましたが、秋からは「亜急性期病床」を「地域包括ケア病床」に切り替え、在宅復帰の後押しをする環境を整えました。「地域包括ケア病床」は最大60日の入院期間が設けられています。
とはいえ、「地域包括ケア」への取り組みはまだ始まったばかりです。まずは地域の連携を強化していくことが第一だと思います。そして、スタッフへの教育に力を入れるとともに、訪問看護ステーションとの連携もさらに強めていきたいですね。

名古屋市南区は特に高齢化が進んでいると聞きます。
そういった意味でも、「地域包括ケア」への取り組みは重要になりそうですね。

そのとおりです。当院の取り組みがモデルケースとなって、地域ぐるみで患者さんを見守る安心の「医療+介護体制」が広がっていけばいいと願っています。

患者さんにメッセージをお願いします。

山口病院は開院以来、24時間365日休むことなく、地域密着の医療を提供してきました。2代3代にわたって通われている患者さんのご家族も少なくありません。高齢化という時代の変化に合わせながら、これからも安心して通える病院であり続けるために、新しいことも取り入れつつ医療の質を高めていこうとスタッフ一同、気を引き締めています。

医療法人 山和会 山口病院 事務局長 竹本 康敏 写真

医療法人 山和会
山口病院 事務局長 竹本 康敏

在宅介護がますます重要となるということは、家族間で介護と向き合う不安も大きくなることだと思います。だからこそ、家族のケアを第一に考える「地域包括ケア」システムへの取り組みは、すべての人にとって大切なこと。病院での役割もさらに大きくなると感じました。

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